ベルソムラ錠(15mg/20mg)
2014年11月に発売された新しいタイプの不眠症治療薬となります。
分類としてはこれまでの一般的な睡眠薬とは異なり、オレキシン受容体拮抗薬になり、入眠・睡眠維持効果をもっています。
2017年2月22日のNHKためしてガッテンで、ベルソムラ錠の糖尿病に対する効果で話題となっています。睡眠時に現れるデルタ波の量を増やす事で睡眠の質が上がり、そのデルタ波の量を増やす事で血糖値を下げる効果があるとの内容の放送でした。
そもそも適応外処方でのベルソムラ錠の使用方法であり、副作用はほとんどない訳ではないのでテレビ放送を真に受けた方が医療機関でベルソムラを処方してほしいなどと言ってくる可能性がありますね。
また医薬品を服用して重篤な副作用が発生した時に医薬品副作用被害救済制度がありますが、適応外処方で発生した副作用に関しては原則的に対象外となる事にも注意が必要です。
特長
覚醒中枢に特異的(選択的)に作用する事で睡眠をもたらす睡眠薬となります。
神経ペプチドであるオレシシンはオレキシン受容体へ結合する事で覚醒状態を促進させます。このオレシキン受容体にベルソムラ錠の成分であるスボレキサントが結合する事で(選択性が高い)、オレキシンが結合する事を防ぎ覚醒状態を抑制する事で睡眠を誘発し作用を示します。
その結果として睡眠状態になる事で人間本来がもつ眠りの状態に導くものとなります。
ベルソムラ錠の特徴として高齢者に使いやすい薬剤と言われています。その理由として下記の3点があります。
@転倒などのリスク小
A単剤での効果大
B副作用発現の際の中止のしやすさ
食事の影響を受ける事が知られており、食事後の服用で効果が出る事が1時間前後遅くなる可能性が高く食後すぐの服用は避けた方がベターとなります。
作用機序
オレシキンは視床下部外側野の神経細胞に特異的に発現し、覚醒を維持・安定化している働きを持っています。このオレキシンが結合するオレキシン受容体に拮抗する事により睡眠作用を示します。
睡眠の質への影響
ベルソムラ錠の睡眠の質への影響を
レム、ノンレム睡眠から見てみると下記のようになります。
*ノンレム睡眠に対する影響について各ステージ詳細は増加と示していますが、ノンレム睡眠を増加させる事であり各ステージ詳細は不明となっていますので注意して下さい。
睡眠レベル | 与える影響 |
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レム睡眠 | 増加 |
ノンレム睡眠(ステージ1) | 増加 |
ノンレム睡眠(ステージ2) | 増加 |
ノンレム睡眠(ステージ3/徐波睡眠) | 増加 |
ノンレム睡眠(ステージ4/徐波睡眠) | 増加 |
上記表より、リラックス状態である
徐波睡眠(ノンレム睡眠)を増やす作用があり
すっきりと眠れる事ができる睡眠薬であるとわかります。
【参考】
一般的なベンゾジアゼピン系睡眠薬は
深い睡眠を減少させ浅い睡眠を増加させる作用をもち
眠る事は出来るが睡眠の質は悪化する事が多い。
*関連記事:ノンレム睡眠とレム睡眠って?
作用時間(効果持続時間)
睡眠導入剤として使用される為、また個人差がかなりある為
明確な効果持続時間は不明となりますが、おおよそ6〜8時間程度となっています。
ベルソムラ錠 | 詳細 |
---|---|
タイプ | 比較的短時間 |
半減期 | 約10〜12時間前後 |
作用発現時間 | 〜30分程度 |
効果持続時間 | 6〜8時間前後 |
副作用
副作用として最も頻度が高いものは傾眠となり、約20人に1人の割合となっています。次いで頭痛、疲労となっています。
ベルソムラ錠は副作用は少ないと言われていますが全くない訳ではもちろんないので注意は必要です。
また依存性、耐性に関しては下記のようになります。
ベルソムラ錠 | 詳細 |
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依存性 | なし |
耐性 | なし |
薬価
ベルソムラの薬価は下記のようになります。薬価は基本的に2年ごとに改定されます。
。
規格 | 薬価 |
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ベルソムラ錠15mg | 89.1円 |
ベルソムラ錠20mg | 107.9円 |
*次回の薬価改定はH30年4月になります。
注意点
Dr指示の服用量を厳守する!